Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

うちのやり方、という蛇足 その4

僕は残念ながら結婚もしていないし子供を育てた経験がないのでこういう喩を出すのはおこがましいかもしれませんが、
まぁ、オーストラリアと日本で社会教育をかじっていたので許してください。


僕は、作物を育てるのって、子供を育てるのに似ていると思います。


同じ種でも個体によって個性があるし、種や科が違えば全く違ったものです。
その種がもともと育っていた風土も違うし、欲しがる水分量、養分の種類、生育の速度、病害虫の種類…


教育でも紋切り型にこれって押し付けて個々の子供のことを見ないと問題が生じるように、
多くの作物を育てている場合、「○○農法」や「○○をすればよい(もしくは○○をしなければよい)」
とすべてに一つの基準を同じように当てはめるのはやや乱暴すぎるような気がしています。
もちろん子供も野菜もそういった方法でも育つには育つのでしょうが…


その作目それぞれに合った環境を用意してあげ、
長所をなるべく生かせるように、伸びたい時期に素直に伸びれるような施肥、管理をしてあげます。
だからあんまり無理して時期ずらして作るのってのも好きじゃないんですよね。
ハウスで早出し用のとか作ってますけど。


そして、甘やかすだけじゃなくて、
肥料、水分、温度など必要以上に与えずきちんと自分の力で育つぎりぎりを与え、見守ってあげます。


独りでやっているんで、そんな理想的にはいかず、
意図的にやっているもののほかにも、結果的に厳しく放任してしまっている部分も多いですが…


特に拙菜園の場合多品目でやっているので、
その作目によって要求量の高い要素や水を用意してあげますが、
これは、うちの場合収量自体を一番の目的としないで味を見ながら試行錯誤です。
で、矛盾するようですが、その中で味だけを求められるかというとそうでもなく、
職業としてやっているので、収量や作業性、貯蔵性なども考慮します。
ここらへんはバランスなのですが、
一年間ぼろぼろに働いてなんとか生活し冬に一回海外旅行に行ってとんとんくらいには儲けさせてください。


それでも時給200円くらいなんで、許して


***


そういった考えのもとに、前回書いた堆肥の他に、毎年5〜10種類の有機肥料を使用しています。
なるべく自分の力で手に入れられる範疇でと思っているのですが
できるものとできないものがあり、
(米ぬかなんかは帯広のお米屋さんから道産米のものを選んで譲ってもらっています)



できないものは最低JAS有機の認証をとっているもので、ホタテ殻、海鳥の糞…など自分が使用してもよいなって基準で選ばせてもらっています。
(始めはホタテ殻もお客さんのところで分けてもらって自分で砕いたりしていたんですが、
労力の割にはハウスの半分にも使えないくらいの量しかできませんでした…orz)


そういったものをある程度の作目グループに分けて毎年試しながら施用するって感じです。


また、僕を含めた新規就農組はよほどのことがない限り地力に富み物理性も良い優良な畑で耕作できるっていうことは難しいと思います。
緩効性の有機質を用い、地力をあげ、土壌バランスを整えるには長い時間がかかります。
まぁ時間がかかっても、主にそこで頑張ってくれる土壌生物たちまかせなのですが…
土中の有機質を増やすとともに、土壌微生物量をあげ、土壌の化学性を安定させるために
毎年細かく(うちの規模にしてみたらアホかってくらい細かい)土壌分析をしてある程度のバランスのところになるまでは投資する。
それ以後は維持するって方向で資材を使っています。
土壌微生物の力によって多様な要素をバイオマスとして土中にプールするって考え方です。
土壌分析でなんでも把握できるわけじゃないですが、推移の傾向を見るためには必要だと思っています。


8年目にして、ハウス2棟はもう特にいじらなくてもいい感じかな?
有機資材って結構お値段するんで、できるところから少しづつやっとります。


続く


  ryo