Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

美味しい野菜を作ろう その1

またきまぐれシリーズです。


「美味しい野菜を作る!」
百姓としてはあたりまえの目標だけれども、なかなか難しいところです。


まず、「美味しい」という定義は人それぞれ、
甘いトマトがいい?
昔ながらの酸味のあるトマト?
使い方も生がいいのか、火を通した料理を作るのか...


そして、この「甘い」についてあげても、
単純に糖度だけでは計れない「口に残る甘さ」だったり、
「フルーツのような甘さ」、「甘ったるい後を引く甘さ」...
様々です。


結論から言うと、十人が十人、「これがいままでで最高に美味しい」というものを作ることは不可能でしょう。
まぁ、この基準はひとまず、「自分が美味しいと思うもの」とすることでおいときましょう。
(だから甘いものを作るときは、おそるおそるお客さんの顔色を見て...ということになります)


有機野菜は、本当に美味しいのか?
どうすりゃ、美味しいと思うものに近づけられるのか?
という、おそらく多くの有機農家やその他の農家さんからクレームが来そうな内容にします。
まぁ、こんなブログ誰も見ないだろうし、
僕なんて小物は誰も相手にしないだろうから、
好きなように書きます。


とりあえず、その1回目。
不定期更新


◆ 美味しい野菜を作ろう その1 〜 品種を選ぼう ◆


天は人の上に人を作らず、
世の中は皆平等だ、
と奇麗事を言っても、
現実、生まれながらにして人は不平等なものなのです。
いや、人じゃなかった、野菜も。


残念ながら、多くの味は、育て方云々の前に、
品種の選定の段階で、大きく左右されます。
同じ野菜でも品種により、
・味
・早生か、晩生か
・対病性の有無
・発芽の揃い
・収量
えとせとら・・・
多くの特徴があり、一般的には「優良品種」とされるものをある程度の面積作付けします。
農家さんによっても考え方は違うしょうが、
例えばニンジンなら向陽だけを数回に分けて作付け・・・
のようなケースが多いのではないでしょうか?
おとついのモノカルチャーと少量多品目の話ではないですが、
営利目的で作物を育てる場合、ある程度の面積で同じ品種を作付けしないと、
作業の効率が悪くなります。


うちの場合、ネタで珍しいものを出すことが多いですが、
実際は定番の品目を広く作っており、その種数が多い傾向にあります。
先ほどのトマトではないですが、
料理によっても「美味しい」という基準は異なるでしょうし、
まだ試行錯誤の面もあり、毎年新しい品種を少しずつ導入し、取捨選択しています。


で、自分でやるのも限りがあるので、
Oさんのところに偵察に、
玉ネギを3種もらってきて、切って、生でと、焼いてと、煮て、
それぞれ食べ比べてみます。
Oさんのところも自然栽培で3種類同じ育て方をしたとのことですが、
3つそれぞれ、甘みも辛味も、調理による味の変化も様々です。


もちろん自分のところの玉ネギでも実施。


玉ネギだけでなく、導入した品種や他の人がやっている品種で面白そうなものは食べ比べてみます。


こうやって、試行錯誤し、パクり、
やってみたら土地に合わなかったり、病気に激弱だったりして失敗を重ねながら、
なんとなく品種を選んでいくのです。


気の長い話です...


一般的な優良品種をやっておけば無難ですが、
揃いが悪かったり、収量が無かったりしても味はやたらいいものなんかもあったりするので、
なかなか面白い作業です。
うちは、あんまり収量やら、袋詰めのしやすさやら、まっすぐかどうか、機械管理しやすいか、
なんてことを気にしていないので、そういった枷が無い分面白いチョイスができます。


(とこういうこと書くと、収量気にしろよ、と突込みが入る)


なんちゃら農法、やら、なんとか栽培、とありますが、
そして栽培法も重要ですが、
品種の選別の的確さとセンスで、最後の味の3割がたが決まるんじゃないかと思っています。


(その2に続く)


  ryo