Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

オーガニック再考 その2 体にいいのかなぁ?

「オーガニック」ってなんだろうか、
と冷静に自問自答してみるシリーズ第二弾。


よく巷で言われるのが、オーガニックのものは安全だ、安心できる、美味しい…
どれも多分に主観の入るもので、特に、「安心」なんてものは、
「大丈夫だよ」っていっても安心できない人もいるし、逆の人もいるから、それぞれで判断してもらうしかないですね。
逆に「安心」を押し売りするのは農業だけじゃなくて、どの分野でも胡散臭いので近寄らないほうがいいかと…


比較的ましな、「安全」というところから。


◆農薬を使わないと安全か?


世に出回っている農薬って、作物ごとに使用するときの濃度や回数に制限があって、
それを守っていれば人体に影響がありませんよ。ってことになっていて、
まぁ、こっそり制限守らない人がいても安全率かけてあるだろうから、それですぐにどうこうって問題じゃないと思うんだけど、
日本の農政ってダブルスタンダード的なところがあって、
「農薬の使用基準守っていれば安全ですよ」
って言っている反面、エコファーマーや特栽、有機農業を進めたりもしている…


基準自体が設定されていること、
毎年、基準自体が変わったり、今まで使用可能だったものが使えなくなったりすることもあるので、
体に良いものではないことと、不確定性があることは確かですね。


歴史的な検証を経ていないので、予防原則という考え方もあります。


ただね、良く「虫が食べているから安全」とかってあるけど、
虫が食べていないに越したことないかんね。
食害にあうことで植物が抵抗性物質出して、それが毒性を持つ場合もあります(死にゃしないけど、苦かったり辛かったりはする)。


またJAS有機で許可させている農薬もあるのですが…
同じように考えるとどうなるかな?


「国が許可しているからOK」という考え方なら、化学農薬も問題ないってなる気もするけどなぁ…


まぁ、最終的には個々で、それぞれのリスクを考えて安全かどうか判断してもらうしかないですが、
あまりエキセントリックになりすぎると「いつ飛行機が落ちてくるかわからないから外に出られない」みたいなことになるやもしれません。


◆化学肥料を使わないと安全か?


まず、結論から。


関係ないです。


巷では都市伝説のように「化学肥料を使うと硝酸態窒素がたまるから。体に悪い」というデマが飛び交いますが、
昭和か!
残念ながら、今でも一部の生産者が口にするのを聞いたことがあります。


えっと…デマですから…


通常の森林なんかだと、土中の有機態窒素がアンモニア態窒素に変わり、硝化菌の作用で硝酸態窒素に変わります。
植物は構造的に硝酸態窒素(一部アンモニア態窒素)を吸収して体内に取り込み、成長します。
植物が成長するのに窒素は必要不可欠ですし、有機物(植物由来であれ動物由来であれ)を入れても
結局はアンモニア態や硝酸態の化成肥料を入れたのと同じことです。


つまり、作物に含まれている硝酸態や亜硝酸態が…という話は、
単純に植物が成長する以上の余剰の窒素を吸収していることが原因なので、
無化学肥料栽培でも、有機態の窒素が過剰にあれば同じことになるし、
化学肥料を入れても、低窒素栽培なら関係ないという話になります。


リンやカリ、他の微量要素についても同じこと
植物が吸収する形は同じなので、化学肥料を使っても使わなくても関係ないです。
気分の問題。


逆に、「有機栽培/自然栽培だから、大丈夫」というのも結構デマが多い…
ほうれん草は窒素を吸収しやすい野菜で硝酸態窒素がたまりやすいですが、
有機物由来でも化成の単肥を入れていてもあったら吸収する。
つまり、「低窒素栽培していたら比較的安全」なだけで、化学肥料の使用の有無とは別物です。


同じく、ホウレンソウのシュウ酸も、
「有機栽培/自然栽培だから、生でも食べられる」といくのではなく、
品種や育て方に寄ります。
ほうれん草という植物の特性としてシュウ酸を溜めこむ性質があるので、
有機や自然栽培のものだからといって食べるという行為は客観的な安全から逆に遠ざかってしまいます。


***


つまり、なんとなくのイメージだと
「有機/自然栽培=安全」って感じになると思うんですが、
前回の線引きの問題の続きで、あくまで「有機、オーガニック」の基準は、
安全性を担保するものではないってことっすね。


こんなこと書くと、周りの有機農家から非難が来るかもしれないけど、
消費者をだましながら物を売るって姿勢は、なんとなく好きになれません。
言わないのは嘘ついてるんじゃないってやつも。


「オーガニックだと、がんが治る、アトピーが治る」って商売も好きじゃないですね。
そういう事例があったとしても、そうじゃないことが原因で病に伏し、苦しんでいる人もいるでしょう。
僕たちは、想像力というものを持っているはずです。むやみに人を傷つけたりミスリードすることを言わないほうがいいと思います。
まぁ、そういう人たちは「オーガニック」を宗教のようにあつかって商売しているわけで、
人の商売の方法自体に文句を言うつもりはないのですが…


◆有機野菜は美味しいのか?


えっと…


僕認証取ってないので有機栽培じゃなくって、でも、同じ基準で作っていますが、
もし、有機野菜ってだけで美味しいんなら、


それは楽だな…


散々まずいものも作ってきています。


許してください。


味に関しては、入れるものが何かっていうことも大事ですが、
品種、播種・定植・収穫のタイミング、土質、水分量、温度、日照条件、微生物、etc
いろんな要素が関係してきます。
多くの人は窒素が多いか少ないかで話をする気がしますが(そしてそれも大事ですが)
その他の要因も同じように大事です。
窒素だって切ればいいってもんじゃない。


そもそも好みが人それぞれ違うしなぁ。
「美味しい」を押し売りする農業者も胡散臭いので近寄らないほうがいいかと…


***


って駄目だ、次回はそれ以外のところでオーガニックを考えてみます。
大丈夫か俺? 有機栽培ってメリットないからやめた方がいいのか?


  ryo