Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

自動販売機はもう少し少なくても良いのでは?(2009.1.24)

北海道電力泊原子力発電所3号機(後志支庁泊村)でのプルサーマル計画は有識者検討会議の最終報告が出され、北海道及び地元4町村の最終判断がそろそろくだされる局面をむかえています。背景には今年度中に決定すれば、核燃料サイクル交付金が最大60億円、国から支給されることがあるようです。

いろいろ言われているプルサーマル計画ですが、有識者検討会議は推進派のできレース的なところがあり、特に広く議論がされているプルサーマルの安全性については、基本的にそれぞれの細かい技術論の集合にすぎず、もっと広い視点から是非を判断すべきだと思われます。<民間企業でありながら経済性を無視した計画>
すでに電力会社(北海道の場合には北電)でも認めているように、(今では、後付けとも言える)プルサーマルの目的は原発から出た廃棄物のリサイクルとされていますが、実質その効果は、当の北電公式発表でももともと希少資源であったウランの10〜20%程度の再利用であって(実際はMOX燃料を扱わなくても再処理の過程の回収ウラン燃料を使用すれば13%程度のリサイクルが可能であり、MOX自体の再利用効果は低くなっています。リサイクル計画自体当初は高速増殖炉を計画していたもので後付け感は否めません)、国が公告している日本独自のエネルギー資源の理想からは程遠いです。そのうえ、バックエンド(再処理・地層処分・原子炉の廃炉処分費など)が18兆8000億円にものぼり(経済産業省諮問機関・総合資源エネルギー調査会電気事業分科会,2004)、その分は結局電気料金に上乗せされ、利用者の負担になります。スウェーデン、オランダ、イタリアでも主に経済性を理由として撤退し、ドイツ、スイスでも撤退の方向にあります。<泥縄式の政策>
プルサーマルのみならず、原子力発電関係で一番の問題は、「最終的な処分への道筋が定まっていないこと」、高濃度放射性廃棄物を処理する方法(施設)を決定していない状態で同廃棄物を排出する施設(発電所含み)の建造を推進しています。当の北海道及び北電の見解は、いろいろですが要約すると「国の施策だからそのうち国が何とかしてくれるでしょう」というものです。環境や人体に影響を及ぼす可能性が高いこの原子力問題に限っては、出口までの道筋を検討して確立させたのち、実施に向けて走り出さなければならないのではないでしょうか。

以下北海道庁HP「プルサーマルQ&A」より引用

(使用済MOX燃料の再利用に関して)
国の原子力政策大綱(平成17年10月閣議決定)では、ウラン燃料、MOX燃料の区別なく、使用済燃料については再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本的方針としており、使用済MOX燃料の処理の方策は、使用済ウラン燃料の再処理を行う六ヶ所再処理工場の運転実績などを踏まえて、2010年頃から検討を開始し、使用済MOX燃料の再処理のための施設の操業が、六ヶ所再処理工場の操業終了に十分間にあう時期までに結論を得ることとされています。

(高濃度放射性廃棄物の処理に関して)
高レベル放射性廃棄物の処分地については、法律に基づき、「原子力発電環境整備機構」(NUMO:ニューモ)が処分を行う機関として、平成40年代後半に最終処分を開始できるよう、現在、処分地選定などを進めているところですが、国において、高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題について早期に解決を図ることが必要であると考えます。

引用終了

<地方経済に与える影響>
所謂原発交付金や関係する税収(法人住民税など)によって、地方自治体の経済は一時的に潤うように見ます。多くの地方の推進派もこの経済効果を見据えた上での善意の判断と思いたいです。しかし、それは健全な地方自治に繋がるのでしょうか。結局交付金はカンフル剤でしかなく、逆に他力本願となる地方財政は疲弊していくのではないでしょうか。現に誘致した電力会社に依存した地域財政は、不安定です(朝日新聞,2008,5,13)。電力会社は誘致・施設建設に大規模な研修(という名の接待旅行)や賠償金、国も交付金を言う名の餌をばら撒いています。あえて言わせてもらえるならば、地方は思考停止へと繋がる救世主主義の発想は捨て、健全な思想による地域活性の方策を模索する必要があります。<安全性は自然災害に対する確立年ではなく、人災>
原発での安全性は個々の技術論による安全性の評価ではなく、実際に稼動している人間の瑕疵またはテロ等の想定外の人災を考慮すべきであり、その評価は安全対策だけで論ぜられるべきものではありません。現に1999年の東海村放射能漏れ事故は現場作業でのずさんな安全管理が原因としてJCOの現場担当者らに有罪判決が下されていますし、事故としても最近では2008年のフランスのトリカスタン原発での現場作業員97名の被爆が確認されています。周辺への放射能汚染のみならず、ここで問題となるのは、最も影響を受ける作業員への安全確保です。もっとも影響を受けるのは常に社会的に弱い者なのですから。この問題は従来の原発はもちろんですが、危険性の高いプルトニウムを取り扱うプルサーマルはいうまでもありません。

それでも推進する日本の原子力施策(プルサーマル含め)は、大きくは巨額のイニシャルコスト及びランニングコスト(定期検査等)ゆえのリベート・利権(先日ニュースになった元副社長が逮捕された西松建設原発利権がらみ)、半永久的にメンテナンスが必要であり、長期的な天下り先として有望な原子力発電所と、電力会社の役員7割が自民党に政治献金している図式があります(朝日新聞,2008,9,14)。
次は多分に推測が入りますが、根っこに日本の核保有を諦めない人たちが、政治の上の方に依然としていることではないでしょうか。純粋なプルトニウム精製の後に国際基準を守るため、あえてウランと再度混合しているプルサーマル処理過程はその危惧に終わらなければいいのですが...。

ともあれ、高橋知事には冷静な判断と、日本国にはあまり国民を馬鹿にしない将来を見据えた施策 (自然エネルギーの導入と省エネルギーの実施による比較するまでも無い安全性の高いエネルギー施策) の実施、自分も含めた全ての人には、肯定に繋がる消極的否定ではなく、自立した意見の発露を望みます、それが肯定であれ否定であれ。

自分は自然農家の一員となるものとして、プルサーマルを含めた原子力施策には反対です。「農薬のかかっていない野菜だけれど、放射能はたくさんかかっています」などというのは真っ平です。

タイマーズ 「love me tender」
http://jp.youtube.com/watch?v=q0cmuaNgf8s

  ryo