Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

うちのやり方、という蛇足 その1

僕は、あまり「農法」っていうものを外で話すのが好きじゃなくて、
「こういうやり方で育てた」
やら
「こんなにがんばって育てた」
やらで付加価値を付けて売ったりっていうのが、
なんとなく嫌...というかこそばゆいような感覚に陥るので、


「できたものだけで評価してほしい」
というのがあったりなかったりするのです。


同じクォリティーのものなら楽してたくさん作ったほうがいいじゃん。
なんて思ったりもします…
もちろん、短期的な生産だけではなく、長い目で持続的な生産をするという視点を持った上ですが。


けれど、目に見えなかったり味に反映されない部分もあって、
そういうものは必要に応じて(請われれば)説明もしなきゃなぁ、と思うわけです。


なんで、「農法なんて知ったこっちゃない」って人は別に読まないでただうちの野菜食べててください(笑)


このごろ聞いてくる人多いんだもの。


***


拙菜園では、農薬と化学肥料をすべての期間を通じて一切使用しないで作物を育てています。
理由は、
1.できる限り自分の力の範囲内で営農し、外的影響を低減することが、より自立した平和な生き方だと考えているから
2.環境への負荷を抑えた持続的な農業の方法の一つと考えているから
3.「食べ物」として自分が納得のいくものを育てたいから
4.コストが抑えられ、かつ、一定の客層のニーズが見込めるから
etc


です。


お客さんからは、「有機野菜なんですか?」と聞かれることが多いのですが、


まず、うちで生産しているものは「有機野菜」ではありません。


有機農産物は、所謂有機JAS法の基準を満たし、お金を払って認定機関に認可を受けたものです。


うち、お金払ってないんで…


よく巷で話にあがる「自然栽培」っていうのは、
(僕も説明めんどくさくなると使ってしまうことがあるのですが)
定義がなく、
「肥料を一切使わなければ自然栽培だ!」やら「草を刈ってはいけない!」やら
いろいろな人が「我こそは自然栽培」と名乗っていて、あいまいな基準です。


有機認証は、その制度ができるまでは同じように基準があいまいだったため、
特に生産者から直接あるいはそれに準じて農産物を手に入れることのできない都市部の消費者などには
安心して一定の基準を満たしたものを手に入れることができ、有意義な制度だと思います。


ただ、
「与えられた情報なり基準を何も考えずに受け入れること」
ってとても危険だと思うんですよね。


それは、生産者側も、消費者側も。


時間は有限ですし、世の中のすべてのことに思いを寄せ熟知することは不可能でしょう。
けれど「お上がいいって言ったから」って何も考えずに資材を使うことやその背景を知ろうとしないことは危険だと思います。


冬で時間があるので、気が向いた時に蛇足のような拙菜園の話も書いていこうと思いますし、
幸い拙菜園は規模が小さく、個々のお客さんに対してひとつひとつ説明していくことができます。
同時に、お客さんの方も畑に遊びに来て実際どういう風に作物を育てているのか見てみてください。
多くの野菜たち、それよりずっと多くの草たち、たまに畑に巣を作っているトリたち、たくさんの虫やクモ、土の中のミミズ、
周りの畑より1か月も早く枯れ上がるジャガイモ(笑)…


本当の理解は、外部または一方からの発信・押し付けからでなく、相互の対話から得られるものだと思います。
野菜だけでなくて、なんでもそうですが。



  ryo