Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

日本の農業はネズミかゾウか

僕は農業系の大学に行っていたのに、
授業なんてこれっぽっちも行っていなかったので、
(今考えるといっておけばよかった)
農学の知識はさっぱりで、専門は(基本独学の)生態学であって、
野良仕事の考え方も生態学に基づいて行っています。


で、それはどうでもいいのですが、
有名な生態学における生物戦略の概念に、
r淘汰(r戦略)、K淘汰(K戦略)というものがあります。
ある閉鎖的な環境の中で、生物(もしくは生物群)が、
内的自然増加率を増加させる方向に戦略をもっていくのか、
または、環境収容力を増加させる方向に戦略を持っていくのか、
とどちらの戦略を選択するのか、と言う概念です。
つまり、例えば繁殖戦略においては、小卵多産戦略をとるのか、大卵少産戦略をとるのか、
生命サイクルにおいては、小型で短寿命多産型の戦略をとるのか、大型で長寿命少産型の戦略をとるのか。
一般的に、安定した環境下ではK戦略が優位に立ち、
撹乱の多い環境下ではr戦略が優位に立ちます。


簡単に言うと、r戦略的なネズミでは個々の個体は小さく、弱いけれども、
環境が変化した際に適応しやすく、種として優位に立ちやすく、
K戦略的なゾウでは個々の個体が大きく強いが、環境の変化に対応しにくい、
ということです。


そして各生物種は閉鎖環境においてニッチ(生態的空白)を各戦略を用い埋めていきます。
(もちろん戦略を用いるのは意図的でなくて、結果的にですが)


***


さて、今この国の中央では、「農地集約大規模化」「攻めの農業」が声を大きくして話をされています。
TPPを踏まえた国際競争力を得るには、日本の農業の大規模化と効率化しかない、と。
確かに家族経営が中心のこの国の農業には非効率的な部分がたくさんのあるのかもしれません。
しかし、これらの農業政策を決めている人たちは、他国の農業を見たことがあるのでしょうか?
僕が見たオーストラリアの農業では、
日本では公道をとてもではないですが走ることの出来ないコンバインが連なり昼夜をかけて小麦を収穫し、
日本のコンバイン以上もある作業機でトマトを収穫し、
ヘリコプターで米を播いていました。
この冬に行ったニュージーランドでも、
家族経営1軒労働人数3人羊3,000頭、牛1.000頭で、標準より小さい農場だと言う話を聞きました。


同じニッチを奪い、同じ戦略を選択する場合、
自然界では、より優れた戦略が当然生き残ります。


多様性があってこその自然界、
そして、強いK戦略選択者が外的変化に弱い、
ということは、なにがしかの教訓をこの国の農業政策に与えてもいいのかもしれません。


***


えっと、今日の仕事
野菜送付、お客さん対応、露地草取り、手豆補播。


明日は、ハウス草取り、ナス・ピーマン芽かき、レタス定植少し、草取り、の予定。
草取りはエンドレスです。
一回とっても、畑一周してまた戻ってきたら手遅れになっていたりして...
そんなこんなで畑縁や道路沿い、家周りの草刈り全然手をつけていません。
そのうち誰かに言われそうです。
今誰か研修かWWOOFにきたら、刈払い機マスターのスキルを得ることが出来るくらい
草刈りさせてあげるのに。


  ryo