Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

自然栽培

1回目の葉物の草取り。
自然栽培などといっても、
全くの放置では、どうしても成長の早い他の植物に被圧されてしまうため、
人の手によるコントロールが必要となります。


この「自然栽培」の考え方がいろいろで、
「自然栽培」は無肥料で草取りもしてはいけない。
などとストイックなことを言う人もいます。


ここらへんの整理は、「自然農」という言葉が定義されていない以上、
正解がない状態といってよいでしょう。
正解がない問題を断定する場合、人はそこに寄りがちになりますが、
思考停止へとつながる危うい道につながる場合もあるかもしれません。


そもそも「農」というのは人が手を加えた人工的な状態であり、
「自然=採取」とは相容れないものです。
つまり、そもそも農を営むこと自体が、ほぼ全ての場合において、
その地域に自生していた種でなく、移入種を導入し、生態系を撹乱させます。


これは、その種のみの力でなく繁殖を手助けするという意味で、
例え郷土種を栽培しても、クリアできない問題です。


一方その対極には、LEDを使った工場での生産、遺伝子の組み換え技術の導入など、
現時点での人間の知識や技術を使用したものがあげられます。


もちろん人の知識や技術には限界があるとともに、
食の人体や周辺環境へ与える影響は、数世代の検証を経て初めて判断が下されるものと考えています。


ただ、採取から、先端技術を駆使した農業は、当然、1か0かの問題でなく、
長い線のような個々の生産者の思想や取捨選択、
―――つまり、どの程度の技術の導入をするかどうか、
露地での生産か、施設栽培か、さらには生産プラントか、
農薬の使用の有無は、使用するなら何をどの程度使用するか、
肥料は有機質か、無機質か、どれをどれだけ選択するか―――
であって、生産時点では、
(たとえ遺伝子組み換え技術など多く非難される傾向にある栽培技術であっても)
それに正解不正解はないと思います。


ただ、人の体内に取り入れ健康を左右する食物に関してですので、
当然基準が設けられているわけですし、
有機農産物を選択したいという消費者のため、
有機JAS法により、「有機栽培」と標榜する生産物には、
使用できる有機質肥料、生物農薬など細かな基準が定められています。


***


で、「自然栽培」とはこのJASとっていないうちみたいのが、適当に言ったり、
JAS取っていても、「うちは他と違うんだぞ」
みたいな変に意気込んだ農家さんが、勝手に「肥料をやらないのが自然栽培ってうちは定義するもんね」
と言っているだけのかなり怪しげな言葉なのです。


ただ、有機JASを取っていても、年に一回の視察で、通常の作業の実態が把握できるはずもなく、
結局書類の問題となっているはずです。
ようは、がんがん農薬使っても、「うちは使っていないもんね」と書類に書いたらパスしてしまう可能性もあります。
もちろん、そこまでひどいところはなかなかないでしょうが、
機械の洗浄や、苗立ての際の化成肥料の使用など、怪しげな話を聞いたり聞かなかったり...


有機JAS法も結構ボーダーラインがあいまいなので、
BT剤やボルドー剤、生物農薬の扱い、木酸酢などの扱い、
そして上記資材とともに、堆肥などの有機質の使用量についての基準もあいまいです。
さらに種子消毒の許可に関してはちょっと意味が分からりません...
(種子消毒はOKですが、種子と種子消毒に用いている薬剤を同時に播くとアウト)


***


もちろん、基本は何栽培であろうと、勝負すべきところは味であって、
何が安心かどうかは、消費者の個々の判断が必要となるはずなのですが、
「有機栽培」や「自然栽培」という名前に引っ張られて、
それだけで安心だと思い、その本質を考えなくなると、本末転倒になる気がします。


ちなみにうちの「自然栽培」は、
森林の生態系をモデルにして、
圃場の収支エネルギーをなるべく一定にする方向で、有機質を畑に戻していくこと、
用いる有機質は、なるべくその出所が分かる手の届く範囲の物を用いること、
多品目栽培で、周りの草を残しつつコントロールすることで(できてないけどね)、
ソイルバランスを保つこと、
省耕起により、土壌微生物層の保持...などですかね。


ええ、自己満足です。
だから、だまされてはいけないのです。


JAS取って味が良くなるんなら、いつでも取るんですけどね。
まぁ、ある程度の信用を得ると言うことなら、手段のひとつだと思いますが、
なんか作られた枠組みに盲目的に従うのは趣味じゃないですね。


  ryo



草取りをしている最中に、レタスの野良生えを発見。
早速ポットに移植して温床の中に。


いろいろ、書いたけど、こういう棚ボタ栽培がうちの自然栽培の本質なのかもしれない...
種代いらず。