Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

うちのやり方、という蛇足 その3

暇なんでつぶやいているシリーズ3回目


長いこと野良仕事しているみたいですが、
今年で9年目。まだまだひよっこです。
なんで、「今こんなことやっているよ」っていうのはあるんですが、
もっといいと思う方法があれば、今のやり方をすぱっと捨てる心持で常にいたいな、と思っています。
なんで、いろいろ話しても、書いても、現時点でのやり方でしかないし、
来年、もしかしたら今年の途中でやり方変えるかもしれません。
標榜している「農薬と化学肥料を一切使わない」というところは厳守しますが、
頑なにならず、良いものを創るうえで手段(農法)に対しては柔らかくいたいと思います。


***


まだまだ素人に毛が生えたくらいなので、自分のやり方が良いとは全く思っていませんが、
今の時点での実際に野菜を育てるうえでの基本姿勢となんとなくのやり方も少し書いておきます。


僕は建物の中の植物工場で野菜を育てているわけではなくて、
圃場の土を使って育てています。
なので、どういったものを創っていこう、やら、長いことやって行こう、
という時、自分の圃場の土とどう向き合っていくかが重要になります。


どうやって土を作るか?
これは農法云々以前に多くの農業者の共通の課題だと思います。


いろいろなやり方があると思うのですが、
僕と同じようなやり方をしている農家さんの多くがそうであるように、
「学ぶべきもの、目指すべきものは『森』」
だと考えています。


多様な生態系と持続的な物質循環


ここからはいろいろな考えがあるし、圃場の土質にもよると思うのですが、
僕は、「森と違い、作物を相応の量持ち出しているわけで、その分は入れ戻して±0の状態を保つ」
という考えを持って、堆肥を連用しています。
微生物によって固定してくれる要素もあるのですが、
職業として人為的に圃場より持ち出している農産物に含まれている有機物/要素は、自然での回復量を上回っていると考えるからです。
例えば河川には緩衝作用と浄化作用がありますが、人為的な汚染がそれを上回ると追いつかないように…
自然状態と人為的介入がある状態は分けて考える必要があると思いますし、
森の中で木の実を小動物が食し、その糞が分解され森へと返っていくシステムと圃場の循環はある程度異なると考えています。


この時、どういった堆肥をどのくらい使うのが適当なのか?
というのはとても難しく、まだ試行錯誤で、今までに、馬糞堆肥、豚糞堆肥、といろいろ使ってみたのですが、
(植物性の堆肥も試してみたのですが、量を確保するのが難しく現実的な問題で断念)
今は牛糞堆肥(全面散布)と鶏糞堆肥(部分散布)を中心にしています。


もちろん馬や豚由来のものも出所がはっきりしていて悪くなかったのですが、
僕が今大事だと考えているのは、「その元となる動物がどう育てられているか」です。


牛糞堆肥は、同じ地域の櫻井農場さんから。
ここでは、春から秋まで放牧を行っていいて運動をしながら牧草中心を食べて育っています。
冬は舎飼いになるのですが、それでも自分のところの牧草中心に与え、
他の牛糞と比べ投入する抗生物質の量が少ないことが特色です。
与えている牧草もこだわって作っています。
敷料は地域の麦稈。
動物質の堆肥は様様な問題を持っていますし、
堆肥化の手法、熟度ももちろん重要ですが、
その餌、使用する抗生物質、敷料が適正であれば、土と親和性があると考えています。


堆肥投入は、それに何を期待するかで、求める状態が変わると思うのですが、
持ち出した要素と有機質を戻すことが目的で、肥料的な効果を期待せず、
C/N比が適当で発酵速度が早いものを前年施肥するという形をとっています。
投入量は、教科書的には黒ボク土標準で2t/反くらいだと思うのですが、
だいたい1/10くらいの量です。
うちは収量がそんなになく、持ち出し量が少ない(笑)のと、カリ過剰を嫌ってです。



櫻井さんところは、堆肥をいただき振ってもらう代わりに、冬になって僕が暇になった時には掃除やえさやりのお手伝いに行っています。
今年も毎日朝晩行っていて、もう7年目です。
物質だけでなく、労働も含めた地域のエネルギー循環という面でも大事だと思っています。


もう一つ多く使っている堆肥は、鶏糞堆肥。
帯広のくさねぎ農園さんの平飼い自然養鶏のものです。
餌にもこだわっていて健康的な飼い方をしている草薙さんのところの鶏糞を使う理由も牛の堆肥と同じ理由です。
時間をおいて元肥としても使っていますし、鶏糞は比較的効果が出るのが早いんで追肥として生育中にも(早めに)使っています。
こちらは窒素がきちんと効くので、土改というよりは肥料的な効果を期待して使っています。


今春からは近くの十勝エッグフォレストさんの鶏糞堆肥も使ってみようと思います。
牟田君の餌に対するこだわりも知っているし、信用でき、
かつ、余ったり規格外になったうちの野菜を食べているので、
地域循環という面でも魅力的です。
ただ、疎飼いにしているし、敷料(麦稈)が結構多く、炭素分が高そうなので、
発酵度合いにもよるのですが、試験的に牛糞の振れないハウス内や露地の硬い場所に土改効果を狙って、
という使い方になると思います。


  ryo