Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

小銭

僕は手売りでの販売が多いので、
どうしても小銭が溜まっていく。
重さでの販売が多いので、昔は10円単位で計算していたのだけど、
あまりにも小銭入れが重くなるので、
去年くらいから直売はどうしてもという時には50円単位、
基本的には100円単位、上回ったときは全部切捨てで販売している。
手売りで3人のお客さんに、
「141円と168円と251円のでいくらですか?」
などと口々に言われて、戸惑うよりも、
お客さんにしたら得した感じがあるだろうし、
計算も簡単、小銭入れも必要以上に重くならないし、
一石三鳥くらいの販売となる。とひそかに自負している。
だいたい、細かいことを気にすると疲れるし、
持ち前の気風のよさを売っている僕としては売り上げが多少減ろうが、
気にはならない。


いや、僕の気風について書こうとしているのでなくて、
そんな販売をしていても、南極の氷がどんどん溶けているのと同じくらいの確からしさで、
僕の小銭入れが重くなっていく。
始めのうちは多少重くなっても、
「なんか俺ものを売って歩いているな」
と実感が物理的な重さになって感じられ、
釣銭用にポケットに入れた小銭入れの重さがいとおしいのだが、
ある程度の重さ以上になると邪魔で仕方が無い。
現実的にもばたばたしてズボンにベルトをし忘れて配達に出たときなんて、
歩くたびに小銭入れの重さでズボンが下がって、
そんなときに限って趣味の悪い色のトランクスをはいていたりするので、
とても、困る。


そんなわけで、たまに配達先で両替させてもらうのだけど、
なんと昨日は諭吉さんが2人も札入れにいらっしゃいました。
小学校以来の親友に久しぶりに会った感覚です。
だいたい親友だったらもっと頻繁に会っていてもおかしくないので、
相手はそんなふうにはちっとも思っていないのかもしれないけれど、
そして諭吉さんの方でも僕のことをちっとも気にかけてないんでいらっしゃらないでしょうが、
そこらへんはあまり深く考えると哀しくなるので、やめておくことにする。


そんな僕が(一方的に)再会を熱望していた諭吉さんも、
先日血も涙も無い冷酷な某電力会社や某通信会社からうちのポストに投函された、
紙切れのおかげですぐに別れなくてはいけないことになる。


「花に嵐のたとえもある」
とは言ったもので、別れがあるから出会いを大事にしないとは頭では分かっていても、
未練があるのは自分の女々しさのせいと思うのでした。
わざわざ別れの辛さを味わうのなら、むしろ会わないほうが良いのでは?
少し無理をしてもズボンを下げて歩いたほうがいいのでは?
と僕が葛藤していたことを、両替してくれたYさんは知らなかっただろう。


  ryo