Paca Kajero

うちの菜園の状況などを徒然に

だからペレットは大丈夫なのか? (2009.2.12)

昨日、地元の十勝毎日新聞
十勝川の整備計画策定とともに、
十勝川の河畔林をペレットにする」
ことの調査・研究を北海道開発局が行うとの記事が掲載されました。

前回一般的なペレットが大丈夫かということを書いたばかり↓なので...
http://blogs.yahoo.co.jp/k58kei/9719670.html
この河畔林のペレット化についても少し。

前回ペレットについて、
・将来にわたり安定的な供給ができるのか?
・事業の採算が合うのか?
・本当にエコなのか?
の3点において大丈夫か、ということを書きました。

それでは、河畔林を利用する場合はどうなのでしょうか?

・・・その前にここ十勝での河畔林について
以前に河畔林利用の実験として十勝川下流豊頃町の名前が出ていたので、
河畔林の構成樹種は、ヤナギ科の樹木がほぼ100%と考えられます。
ヤナギ科と言っても、よく見かける細かい葉のオノエヤナギ、キヌヤナギなどのSalixと、
ポプラの仲間であるドロヤナギToisusu、ここ十勝ではケショウヤナギChoseniaに分かれますが、
(分け方は多説あるかもしれませんが)
この中でも、十勝側中下流部では、一般的に「ヤナギ」と呼ばれるSalixが多くを占めています。
このSalixは、成長が早い、萌芽が盛んで挿し木でも定着するなど生命力が著しい、
寿命が30年程度と短い、などという特徴を持っています。
また、利用する際には、やわらかい(比重が小さい)、含水量が多い、
などの特徴を考慮する必要があります。
・・・

これをペレットに利用する場合には、
前回指摘した各項目それぞれについて、
さらにデメリットが生じてしまいます。<安定供給>
河畔林を対象とする場合には、
当然現在生じている河川工事(護岸工事など)に伴い発生する材の利用を念頭においているのでしょうが、
(熱利用目的の伐採は、特に細いヤナギが生育している下流部では、採算が合わないと考えられます)
まず、派生箇所、発生量がばらばらで、安定的な量の供給ができません。
これだけで、事業化のめどはつけにくいですが、さらにそのデメリットを解消のために、
他木材と混合して利用する場合には、製品としての安定性に欠けると考えられます。
つまり、事業として行う場合には、1袋いくらで売ると思われますが、
1袋ごとで、発生する熱量が大幅に変動することになります。<経済性>
熱量が低いことより、同じ熱量を得ようとすると、
カラマツなどの他材を利用したペレットの倍程度のペレットが必要となります。
つまり、値段が半分程度にならないと、他のペレットとも競争できません。
現状では、工事とともに土砂混入の状態で廃棄されているでしょうから、
受け入れ価格0円でも、選別等の通常の所謂木材に要する以外の処理、
及び水分含有量を下げるための乾燥工程にコストを要するので、
お世辞にも高いといえない流通している木材価格と比較し、
到底達成できない数字であることは明白です。<エコか>
現在十勝では、木質の廃棄物は中間処理場において、
異物の選別後、破砕処理(通常)後、
敷料や緑化材、マルチ材として100%再利用されています。
内地、首都圏のように焼却処理されているわけではありません。
ですので、「資源利用」、「エコ」という面では目的として弱すぎる感じを受けざるを得ません。
特に、家畜糞尿の適正処理、及びそれに一部起因する硝酸態窒素の環境汚染は、
現在の十勝の大きな環境問題の1つです。


■では?
確かに税金の無駄使いをなくす面からも工事コストを下げていくことは、
国民の1人として望ましい限りですが、
表だけその格好で、裏で調査費、実証試験、また環境対策への補助金としてお金が流れるのでしたら、
まったく意味がないでしょう。
特に、価格や供給が不安定なペレットを「良し」として末端の消費者に伝えることは、
将来的にその消費者を裏切ることにもつながりかねません。

木質、特にサーマル利用として低質なヤナギの利用を考えるのであれば、
多材の利用ができ供給の不安定さを干渉でき、処理が安価、土砂等を許容できるの面から、
前回取り上げた、「薪ストーブ」。
国が大規模に行いたいというのであれば、「チップボイラー」による公共施設や冬季農業施設での利用。
さらに資材の安定性を考慮し、化石燃料との「混燃式ボイラー」の活用。
などが現実的ではないでしょうか。

まぁ、土砂混入がある程度許容できる敷料として発生箇所周囲の酪農家さんに配るのが、
一番コストダウンかつエコだとは思いますが。
バイオマス利用としてもサーマルは最後に考えることでしょうし。

  ryo